Thailand
Globetrotter

テクテクタイランド

Chiang Rai

March 25[Wed], 2009

幕の内チェンライ

メーサロン/ゴールデントライアングル/メーサイ[チェンライ県]

タイ最北の地であるところのチェンライ県は、ミャンマー/ラオスと国境を接し、かつてはアヘンの原材料となるケシの世界最大の栽培地帯として名を轟かせたゴールデントライアングルをその北東部に擁するほか、山間にはアカ族やヤオ(ミャン)族、リス族などの山岳民族、中国での国共内戦の際に雲南省から南下した旧中国国民党軍の子孫たちが暮らし──なんて聞いてるだけで島国ニッポンからやってきた我々はもうおなかいっぱいになりそうですが、そのうえ、タイ北部を支配していたランナー王朝関係の遺跡や文化などなどがチェンマイ同様いろいろあったりで見どころも多く、みなさんにはぜひぜひゆっくり訪れてほしいところ。

ということで、今回はカメラマンA・B 2人で思う存分写真を撮りながら、与えられた2泊3日の日程でできるだけ回って、チェンライの魅力を駆け足でお届けするでござるの巻、です。題して見どころ盛りだくさん幕の内チェンライ。

起きました。

March 25[Wed], 2009 07:23

迎えのクルマが8時半に宿泊先のユーラシアホテルにくるらしいので起床。外の空気でもと思って出てみると、地面には黄色い花がたくさん落ちてました。ルアンインディア(あとから調べたら日本名コガネノウゼンでした)という花らしく、3月上旬から1ヶ月くらい見られるものだとか。

朝食をすませて荷物を片づけてるとガイドさんがクルマでやってきます。そうですよ、チェンライ行きはガイドさんつきクルマつきです。そうでもしないと2泊3日なんかでまわり切れないんですよ。

リクライニングシート(革張り)でチェンライへ。

March 25[Wed], 2009 09:37

スミマセン、バッテリー切れてクルマ動きません、とガイドさん。んん、なんですと? と問いただそうとしたら、いやいや待て待てと。もう代わりのクルマは発注済みであると。おおそうですか。ということでやってきましたフォルクスワーゲン、車内ひろびろ、シートもベンチじゃなくて各シート独立のリクライニング。しかも革張り。おおこれはアレですね、VIP車というやつで(違)。そんなこんなでやっとテンションもあがり気味、前のクルマには目もくれずにさっそく荷物を新しい車に放り込んで、いよいよチェンライへ出発!

ちなみに、チェンライには鉄道が通ってませんので、車でない場合、陸路では、チェンマイ第2バスターミナル(別名アーケードバスターミナル)からバスで約3時間20分かかります。

休憩その1。温泉が噴き出すドライブイン。

March 25[Wed], 2009 10:55

きれいに整備された国道118号線をVIP車(仮称)で北へ走って約70km。ドライブインで休憩……と思ったら駐車場のど真ん中に温泉が天空高く噴き上がってました。なんだか周囲のお店の軒先までびしょびしょですけどこれは計画通りってことでいいんですよね? という疑問をぐっと抑えて看板には、"The Highest Hot Spring in Thailand"と書いてました。どうやらここは「ウィエンパパウ温泉」というところ。

奥には、足湯や温泉たまごができるとこがありましたので試しに女の子からうずらの卵を一籠。ソースつき10個で20バーツ。5分で茹だりました。温泉たまごって世界共通の文化なんでしょうか。

休憩その2。ジャリンガーデン・リゾートでパイ。

March 25[Wed], 2009 12:25

メーソイ川沿いの「ジャリンガーデン・リゾート」。パイが有名です。バンコクとかばりばりのリゾート地ではそうでもないですけど、地方にいくとケーキとかそういう西洋風の甘いものはかなり微妙になりますのでおいしいところは貴重です。というわけでノースタイランドの片田舎にもかかわらず店内にはファラン(西洋人)がたくさん。ココナッツ、マカデミア、タロイモ、レモンスプリームを注文。ひとつ40~45バーツで日本人には高くないですけど、市場のラーメンが一杯30バーツなので、まあまあけっこういい値段。

♪おーかーをーこーえていこうよー

March 25[Wed], 2009 14:40

国道1号にはいるとすぐにチェンライ市内。バスのみなさんが着くであろうところの第一バスターミナル(と、思ってましたがこの後すぐに第二ターミナルがオープン)をとりあえず目視確認だけすると、すかさず国道に戻りチェンライの山岳地帯へ。約40キロ走り1130号線経由で1234号線に入ると山道が始まります。タイの山道はハンパじゃないですよ。さすがに舗装はされてるし幅も広いですけど、アップダウンはジェットコースターみたいです。

そんな道を走らせてしばらくしたら、「メーサロン・ノーク」と呼ばれるところに差し掛かりました。標高1200メートルの尾根沿いに、アカをはじめヤオ(ミャン)、ラフ、リスなどの山岳民族、そして中国雲南省からの旧国民党軍の子孫など約15,000人が、13の村に分かれて暮らしてます。多くはトウモロコシやライチ、お茶を栽培して生計を立てているみたいです。

メーサロン・ヴィラ。饅頭、雲南ハム、しいたけ。

March 25[Wed], 2009 15:30

なーんてかんじで山道をどんどん登り、両側が茶畑やライチ畑になってしばらくすると、ふっと突然集落のなかに出てきます。えんえん山道を走ってきただけに、こんな山の上に人里が、とちょっとびっくりなのですがここがそのメーサロン。へー、なんて言う間もなくもうさっそくピンクの壁と中華風の装飾が目につく建物のメーサロン・ヴィラというレストランにクルマを止めますよ。

このレストラン、店内にはいろいろ古い写真が飾ってあって、どうやら店主は中国旧国民党軍第93師団の軍人さんの子孫。祖父の代からここに暮らしているらしいです。

なんて話はおいといてごはんごはん。豚足と饅頭、しいたけの醤油炒め……店員さんがムーナムカーンを軽く油で揚げたのと黒鶏の漢方スープがおすすめだと(中国語なまりのタイ語で)言うので、それと野菜炒め、そして雲南そばを注文。どれもうまいです! ちなみに饅頭は「まんとう」と読んでくださいね。餡なしの中華まんでごはんがわりに食べます。あとしいたけ最高。素揚げしたのに甘辛酸っぱい味つけです。あまり食べ物に執着のないカメラマンBもムーナムカーンをうまいうまい言うて食べてました。

そのムーナムカーン、店主の妻・オラサーさんによるとあらかじめ酒とスパイスにつけて3日間寝かした豚のヒレ肉を、寒さが厳しく霧の濃い12月に2~3日干して一年保存してできるという、雲南省の名物らしいです。雲南ハムってやつですかね。えーと、いまさらですが実はカメラマンAの家族がチェンライ市内に住んでおります(日本人ですが)のでお土産に買いました。1キロ500バーツ(約1500円)。ガイドさんもお土産として500グラム購入。ちなみに彼はタイ南部はパッタニー出身、イスラム教のひとです。ハムの原材料は豚肉ですが……

メーサロンの町を歩く。

March 25[Wed], 2009 16:26

メーサロン・ヴィラからちょっと上のあたりにクルマを止めて散策。ゲストハウスが集まった一角で話したのは賀家華(Heu Cha Hua)さん、当年とって52歳。彼の"Shin Sane Guest House"(新生旅舍)には、いろんな国の人が泊まりに来ると。「みんな冬に咲く山桜や山岳民族が暮らす村、茶畑を見に来るんだ」そうです。いやいや、このメーサロンの町自体もとっても楽しいですよ。

そこから南へ数十メートル先には、地元の人が利用する生鮮食料品の市場が。バイクで次々とお客さんがやってきます。角の雑貨屋さんで出会ったお子さん連れのお父さんは、両手に花や果物やお供え物を提げ「もうすぐ清命節なので、その買い物」と。ここから7キロ離れた村で果物とお茶を栽培してるそうです。今日だけで1200バーツも買物をしたとか。

メーサロンを見下ろしてみる。

March 25[Wed], 2009 17:00

市場から車で登ると、国民党93師団の段希文将軍が眠るお墓。山の斜面に、山桜の木が立ち並んでます。桜が満開になる12~2月頃には、台湾やバンコクから観光客が大勢訪れるとか。そうそう、ちかくにある旧国民党軍司令部あらためメーサロン・リゾートというところには「サクラ」なんて名前のレストランもあります。

広場からは、どこまでも続く山々の稜線と、尾根伝いに続く小さな赤い屋根の連なりが見えます。最果ての陸の孤島だけど一方でいろんな民族が行き交う不思議な町。国境がどこにあるのかとか、どの人がタイ人でどの人が中国人なのかとか、そんなことを聞いても、ここではあまり意味のないことかもしれませんね。

メーサロン市場でナンパ、ではなくお買い物。

March 25[Wed], 2009 17:10

土産物屋さんが並ぶ市場があったのでちょっとブラブラ。40軒あるお茶の店のなか、我々がごくごく自然に足を運んだのは、若いおねーさんが店先にたつ「阿趙茶店」(Aa Chao)。ハタチだという黄順珍(Huan Suan Chuan)さんが人参烏龍茶を淹れてくれました。彼女も旧国民党の子孫。もちろんタイ生まれでタイ育ちですが。ガイドさんがぼくたちを差し置いてたいへん熱心にナンパしておりました。お茶は甘味があって香ばしくておいしかったです。

その道向かいにある八百屋さん、ていうか野菜売りの屋台では、ほうれん草やニガウリ、南瓜などさまざまな野菜のほか、日本米とか小豆とかもありました。ちょうどそこに、地元のおばさんが採りたてのさくらんぼみたいな果物をでかい袋に入れて持ってきて、1キロ30バーツというので半キロ買うことに。たべてみると甘酸っぱくてどうやらプラム。ちなみに、まるくひらべったい形の乾燥納豆もありました。冬場、火に炙っておつまみ感覚で食べる、北部地方では食卓に欠かせない一品だとか。

山のうえにも塾くらいあります。

March 25[Wed], 2009 17:28

そろそろ山を降りましょうかね……というところで子供たちが集まってるのを見かけてまた道草。長屋のようになった建物の一室では、中学生から高校生くらいの子たち10~20人が床に座ったまま一所懸命ノートになにか書いてます。学校? そこから出てきた17歳の李瑪麗(Lee Malee)さんに話を聞いてみると、ここは裏にあるキリスト教の教会が無料で開く塾で、自分は漢字と英語と数学を習っているとのこと。「いまのは漢字テストだったの」。瑪麗さんと一緒に来ていたもうひとりの女の子は、従妹の陣家蘭さん14歳。4~5年前に雲南省から家族4人で来たばかり(タイ国籍を申請中だとか)なのでタイ語を勉強中。国境を流れるメコン川は、上流へ遡ると雲南省に続いてますからね。メーサロンの親戚を頼って、船で来たみたいです。

茶畑の夕陽。

March 25[Wed], 2009 17:50

山を降りる途中に広がっていたのは「101号茶畑」。お茶の産地ですからね、ちょっと寄りました。収穫期には、手で若葉をひとつずつ摘み、隣の焙煎工場へ運んで行く山岳民族のひとたちの姿が見られるそうです。キロ単価1200バーツもするような高級ウーロン茶ができるらしく、バンコクの中華街から遠くは台湾などへも輸出されていくらしいです。もう時間も遅かったので、畑にも工場にも誰もいませんでした。夕空を眺めていると、ところどころに植えられていたギンモクセイから甘い香りがしてきました。

アカ族の村。

March 25[Wed], 2009 18:23

茶畑からさらに山を降りると、木の鳥居のような門と男女の人形がある集落に行き当たりました。アカ族の村だというので降りてみます。このアカ族も、もともと中国の雲南省あたりに暮らしていたらしいのですが、70年前あたりからミャンマーを渡ってタイやラオスなどへやって来たそうです。この村では約300人の人々が暮らしていると。

アカっていうと黒地に赤っぽい色の刺繍の服とか金属の頭飾りとかなんですけど、若い人はみんなTシャツに巻きスカートとかパンツです。交差点前の家の広場で遊んでいた2歳のベムちゃんも半ズボン。「お父さんとお母さんは?」とベムちゃんの伯母さんに尋ねたら、二人ともバンコクへ出稼ぎに行ってるらしく。近くにいたアーポさん(18歳)とアダーさん(16歳)姉妹は、ここに生まれて近くの学校へ通いながら、両親の畑仕事を手伝っているとか。彼女たちもカッコはTシャツ姿だけど、両手にはやりかけの刺繍が。アカ族の女性はいまでも、刺繍を覚えなければダメらしいです。

本日のお宿はゴールデントライアングル。

March 25[Wed], 2009 20:03

暗くなった山道を降り、北へ1時間メコン川沿いに面するインペリアル・ゴールデントライアングル・リゾートに到着。ゴールデントライアングルの夜は早く、もうお店はあんまりやってなさそうなのでホテルのボーダービュー・レストランで夕食。

明日は午前中にエレファントポロを見てから、ミャンマーに行く予定。もの凄い勢いで降る雨にビカビカ光る稲妻をテラスから眺めてたら眠くなりました。雨があがったらきれいな空になると思うので起きれたらメコン川の朝の風景撮りたいですけど、その前に洗濯物しないと……