Thailand
Globetrotter

テクテクタイランド

Udon Thani / Nong Khai / Vientiane

August 11[Wed], 2010

イサーン文化のルーツをたどってラオスまで

ウドーンターニー/ノーンカーイ/ヴィエンチャン

イサーン(タイ東北部)と聞いて思い浮かべるものはなんでしょう。うーん、やっぱりタイ全土で人気を博す、みんな大好きイサーン料理でしょうか。わたしも大好きです。定番ですけどガイヤーンにソムタム、ラープにイサーン・ソーセージ……ああ、いまからでもビール片手に乗り込みたい気持ちでいっぱいです!

でもでも、もちろんイサーンはそれだけのところではありません。たとえばコラート台地の北端に位置するウドーンターニー周辺では農耕文明が築かれてきたことがうかがえる先史時代の遺跡が数多く残っていて、タイの歴史はここから始まったと言っても過言ではないんです。その後も周辺諸国との交易や交戦を通じて様々な影響を受け、イサーン様式と呼ばれる独特の文化を花開かせてきた地域なんですよ。日本でももちろんそういう外部からの文化的影響は多大に受けてるとは思いますが、周囲を海に囲まれているだけに「点と点」という感じ。一方、イサーンは地続き、あるいはメコンを通じて全面的に、そして過去から現代まで、常に混ざり続けている文化というわけで、とてもおもしろそうです。

というわけで今回の旅は

  • 1・2日目:ウドーンターニー周辺で世界遺産バーン・チェン遺跡など先史時代の歴史を中心にイサーン文化を学んだりします。2日目の夕方にはメコン川沿いの国境の街・ノーンカーイへ移動。
  • 3日目:メコンに架かる橋をわたって隣国ラオスの首都ヴィエンチャンを一日観光。イサーン文化に多大な影響を及ぼしてきたラオス文化に触れたいです!
  • 4日目:国境の街ノーンカーイを散策。
  • という日程になっております。もちろん全編にわたっておいしくてビールに合うごはんにありついていく予定ですが、今回は国際河川メコン流域らしく、イサーン、ラオス、ベトナムと多彩な食文化をお腹におさめていく旅になっちゃいそうです。たのしみですね!

うどん谷?

August 11[Wed], 2010 11:10

バンコクはスワンナプーム国際空港より約1時間、ウドーンターニー空港へ到着。や〜!と、勢いだけでどん兵衛をかかげていますが、もちろんこの親しみのもてる語感の地名は我らがソウルフード・うどんとは全く関係ありません。サンスクリット語でウドーンは「北」、ターニーは「街」を意味するのだとか。そういえば○○ターニーっていう地名、タイではよくみかけます。

さて、タイ国内でもあまり裕福ではないイサーン地方にあって、しかしその北部に位置するここウドーンターニーは、1960年代のベトナム戦争当時にアメリカ空軍基地が置かれ、急速な発展を遂げた街でした。通りには米兵向けのバーやクラブが建ち並び、人々は商売のために熱心に英語を勉強したそうです。1976年にアメリカ軍は撤退していますが、いまも身につけた英語を生かして海外へ働きに出る人が多いところなのだとか。空港でガイドのエークさん&運転手のヤーさんとおちあってそんな話を聞きながら、とりあえずお腹が空いてるので本場のイサーン料理を食べにいきましょうか。ちなみに、車窓から眺める限りにおいては、そういう基地の街的な面影はもうあんまり感じられないです。

さっそくイサーン料理の洗礼を。クン・ニット・レストラン。

August 11[Wed], 2010 12:00

やってきたのはクン・ニット・レストラン(「ニットさんの家」という意味らしいです)。おすすめを適当にみつくろってもらいました。

「夏のこの時期にしか食べられない、おいしいよ」と真顔ですすめるエークさん。お皿の上にはまさに「できかけ」のハチさんたちが何の飾り気っもなく転がってます。ああイサーンに来るなりなんでこんな罰ゲームなの! と半ベソかきながら一匹、口の中に放り込みました……ら、意外にもサクサクおいしい! スナック菓子のようにかる〜い食感でビールのツマミにぴったりです! イサーンではタンパク源として昔から虫やトカゲなんかを食べる習慣があるらしいですよ。他にも魚の干物を発酵させたランゴーと呼ばれる魚醤が効いたソムタム、スパイシーなラープ、発酵したお米が入っていてその酸味が特徴のイサーンソーセージと、エークさんってば昼間っからビールがすすむナイスチョイス!

イサーン料理のコンテストで優勝したこともあるというこのお店は、タイの有名人もよく訪れる人気店なのだとか。お店の壁にはサソリのサラダ、アリの炒め物、ハチノコのピザなどなど、ちょっぴり怖いもの見たさでそそられる料理の写真がたくさん貼られてました。イサーン料理、おいしいだけじゃなくて恐るべし!

古代のゆめに思いを馳せる。プー・プラ・バート歴史公園。

August 11[Wed], 2010 14:30

ビールでいい具合になりつつ車に揺られること1時間、ウドーンターニー市街の北西約67kmにあるプー・プラ・バート歴史公園にやってきました。このプー・プラ・バート歴史公園は、数百万年前の氷河やその後の風雨による浸食でできた奇岩群で有名なところ。先史時代から人々が暮らし、また9世紀から11世紀にかけては、仏教やヒンズー教の神聖な儀式の場として人々の信仰を集めた場所だったそうです。現在は歴史公園として、それらの奇岩を見て回ることができるハイキング・コースが整備されてます。さあそれでは、ここのシンボルであるホー・ナーン・ウサ(ウサ姫の砦)と、写真でみかけたストーンサークル(みたいなもの)を目指して歩きましょうー。暑いので飲み物を忘れないようにしてくださいね。

公園内のコースをほんの少し歩いただけで見えてくるへんてこな岩の数々は、なかなかの見物です。ちょっと先端にぶら下がればすぐ崩れてしまいそうな絶妙なバランスで立っていたりして、まるで誰かが岩を積んで遊んだみたい。自然の造形なのにすごいです。さらにところどころの岩壁には、この岩陰に暮らした先史時代の人々の手形や彼らが描いたという動物や狩りをする人の壁画などが残されてました。

そしてこれらの奇岩のいくつかは、その周りを柱状の石で囲まれてます。写真でみたストーン・サークル(みたいなもの)はこれですね! どうやらこれらは宗教儀式の場でもあったようで、結界を示すための石が周囲に円形状に並べられたものなのだとか。遠い昔のプリミティヴな信仰の場がそのまま残っている感じで、当時の人々の神仏や自然に対する畏怖のきもちとかがなんとなくわかるような気がしました。

樹木の生い茂る小道を抜け、ツルツル滑る一枚岩に足をとられながら進むとようやくウサ姫の砦に。タワーのてっぺんに帽子でもかぶせたような、遠くから見ると髪をなびかせる巨大な横顔のような、そこへさらに窓なんかも設えられていて、なんとも不思議でジブリのアニメなんかにもでてきそうな雰囲気でした。ちなみに「ウサ姫の砦」は本当に砦だったわけではなく、人々がこの地方に伝わる悲恋の物語の舞台になぞらえて岩々を呼ぶうちに定着したんだそうですよ。

舌噛みそう! ワット・プラタート・プラ・プッタバート・ブアボック。

August 11[Wed], 2010 17:00

ここまで来たのでプー・プラ・バート歴史公園の入口近くにある仏教寺院、ワット・プラタート・プラ・プッタバート・ブアボックにも立ち寄ることにします。台座8.5m四方、高さ45mの仏塔は外壁もレリーフも柔らかな色使いで優しげ。なんだかタイにしてはめずらしく平面的な造形ですけど、これはタートといってラオス様式の仏塔なんだそうです。ラオスに近いイサーンならではですね。内部には巨大な仏足石(仏さまの足型:プラ・プッタバート)が祀られていて、毎年3月のお祭りにはタイ全土から大勢の参拝客が訪れるんだそうですよ。

バーングァイ市場でつまみ食い。

August 11[Wed], 2010 19:35

そういえば恒例の市場チェックをしていませんでした。街を知るにはその市場から、ということで夕ごはん前に訪れたのは市内の中心部にある時計塔ロータリーからウドーン・ドゥッサディ通りを北へ1.2km、こぢんまりとした町の台所と言った雰囲気のバーングァイ市場。肉や魚、野菜ももちろん扱っていますが、時間帯のせいかすぐに食べられるおかずなどがたくさん並んでました。お昼に食べたイサーンソーセージも5ケで25B、約75円でお買い上げ! 豚の皮のカリカリ揚げはカロリーが多少気になるものの、やみつきになるおいしさです。ビールのお供にぴったりですからねー。ぜひとも帰りに買ってお土産にしなくては。

それにしてもタイの市場には無駄にかわいい売り子さんがたくさんいらっしゃいますですね。さっそくガイドのエークさんがナン……いやいや、お話しをしてました。

駅前激安ヌアヤーンのお店、バーン。

August 11[Wed], 2010 21:00

さあおなかがすきましたね! タイで肉といえば鶏や豚ですけどもイサーンでは牛肉もよく食べられてるみたいです。ということで「おいしいヌアヤーンのお店、知らない?」と、エークさんが道行くきれいなお姉さんなどなどに尋ねつつ、ようやく辿りついたのはウドーンターニー駅から徒歩約3分、プリーチャ市場の前にあるヌアヤーン(イサーン風焼肉)のお店、バーンです。こちらは食べ放題のバイキング形式。1人だと149Bの料金が2人で来店すると119B/人、4人でなんと109B/人(日本円で約330円)とどんどん安くなっていっちゃうシステム。いいんでしょうか、食べ放題なんですよ? 一方しかしながらシンハービールは1本100Bなり。

ムーガタ(北部の豚焼肉)、ムーヤーンガオリー(タイの「韓国風」焼肉)などでも使われるタイ料理独特の鍋がポイントで、盛り上がった中央部分で肉を焼き、周囲に張ったスープで野菜や麺などを茹でます。それにしても食べ放題ってなんでこんなに楽しいんでしょうね! タイの牛肉は固いイメージがありますが、ここのお肉は日本の上ロース……とは言わないまでもけっこう柔らかです。他にも鶏や豚、ホルモンなどお肉は10種類以上、タレも甘・辛・激辛と3種類。お肉に野菜、シメの麺までお腹いっぱい食べて4人で700B、日本円で約2100円。うーん安い! 食べ放題2人分のお値段なビールをひとりで飲んですっかりできあがってしまったわたし。ホテルに着くまでもなく、帰りの車ですでにうとうと……本日はここらへんでおやすみなさい。