Thailand
Globetrotter

テクテクタイランド

Sukhothai / Si Satchanalai

November 3[Tue], 2009

歴仏女:スコータイとシーサッチャナライを往く

スコータイ、シーサッチャナライ

巷で「れきじょ」とか「ぶつじょ」といった言葉を耳にするようになりました。「歴史」や「仏像」といった非常に渋い趣味に走っちゃった女子のことだそうですが、女30こえて独りで居るとこう現実の時空から離れたロマンだの癒しだのを求めてしまうのもわかる気がします……という昨今ですが、そんなおり、タイが誇る世界遺産の町、日本語で「幸福の夜明け」というなんともすてきな地名を持つところのスコータイへの旅、のお話がやってまいりました。

スコータイは、首都バンコクとタイ最北端チェンライとのちょうど中間あたりに位置する小さな地方都市、なのですが、ご存じのとおり、ここは13世紀中ごろにタイ族初の王朝が建設されたという記念すべき地。現在は当時の都の遺跡がうつくしい歴史公園として整備され、同じくスコータイ県内にあるこれまた王朝当時の主要都市であったシーサッチャナライやカムペーンペットの遺跡とともに、ユネスコ世界遺産に登録されてます。まさに「歴史」の町ですね。当然のことながら仏さまもたくさんいらっしゃいまして、こちらもまた「スコータイ様式」という女性的でとても優美なものらしく楽しみです。せっかくなのでシーサッチャナライにも行きたいですね!

そうそうそれから陶芸愛好家のあいだで古くから有名らしい宋胡録(すんころく:タイではサンカローク)焼きの産地もこのあたりとのことなので、そういった陶芸のこころにも触れ、こころの穏やかな女性になりたいと思っております。なれるのかわかりませんが。

日程はこんな感じ。

  • 1日目:サンカローク陶器博物館見学、チャリンコでスコータイの遺跡めぐり
  • 2日目:シーサッチャナライ歴史公園やバーン・コノーイ村の窯跡を散策したり焼物づくりの体験したり
  • 3日目:サワンカローク市内のサワン・ウォラナヨック・ナショナル・ミュージアム、バーン・ナートンチャン村の織物工房、ゴールド・テキスタイル・ミュージアムなどを見学
  • というわけで、即席歴仏女が幸福な夜明けを求めてさまよう旅、行ってまいります!

スコータイにつきました。サンカローク陶器博物館。

November 3[Tue], 2009 11:40

バンコクエアウェイズのスコータイ空港(小さなホテルのロビーみたいなかわいい空港でした!)でいつもの北部方面担当ガイド・エークさんと半年ぶりに再会。さっそくスコータイ歴史公園へ向かおうと思ったのですが、途中とおるスコータイ新市街にサンカローク陶器博物館というのがありますので、さっそく行っときましょう!

このサンカローク焼き、入口で購入した日本語の案内書によると、14世紀から15世紀にかけて、ここスコータイやシーサッチャナライなど(そのなかでもバーン・コノーイ村というところが中心的だったとか)で生産されたもので、素焼きのうえに白化粧、そこへ鉄分を多く含む顔料で絵つけし、釉をかけるというスタイルが特徴。上でも書きましたが、日本ではすこしなまって宋胡録(すんころく)とよばれ、茶道が普及しはじめた桃山時代ぐらいから日本にも輸入されて、茶人に珍重されました。有名なのは「柿の蔕(へた)の香合」というお香の容れ物なのですけれども、実はこれ、果物の女王として有名なマンゴスチン(ちなみに王様はドリアン!)をかたどったものという説が。でも当時の日本にそんなフルーツなどありませんでしたので、柿と誤解されて広まったとか……。侘び寂びとか言うてる茶人さんたちの傍らに、実はえらいトロピカルなものがあったと思うとちょっとおもしろいですね。

博物館の1階の展示室に入ると、さっそくそのマンゴスチンのかたちをした黒釉の香合もありました。他にも柿釉や白濁釉、黒濁釉の皿、鉢、壷、煉瓦、タイルなどなどが展示されていて、思ったより種類が豊富。柄もいい味だしてます。他には小さな人形とかもおもしろくて、授乳中のおかあさん、あるいは女性のおっぱいに手を出してるおっちゃん(!)、戦場に向かう険しい顔の戦士などなど、どれも表情が豊かです。2階には大きめの人形やお皿が多く、なかなか見応えがありました。

リゾート・ホテルでランチ、ナムカーン・スコータイ・レストラン。

November 3[Tue], 2009 12:50

ごはんはスコータイでとても雰囲気がいいと評判のリゾート・ホテル、レジェンダ・スコータイ・リゾート内にあるナムカーン・スコータイ・レストランへ移動。広々とした庭を横切って流れる川、寺院のようなコテージ、数百メートル先には遺跡があって、なかなかいい雰囲気。昨日までバタバタと仕事に追われていた生活からすっかり開放され、ただただぼーっと外を眺めていました。

注文したのは、おすすめのホーモック・プラチョーン(雷魚のカレームース)に、ピリリと辛いトムヤム・プラチョーン(雷魚のトムヤム)、もち米にカオニャオ・ガイ・オップファーン(焼き鳥)などなど。おいしい!

チャリンコでGO! スコータイ歴史公園。

November 3[Tue], 2009 14:25

公園内は自転車で回ってみます。スコータイ歴史公園近くの レンタサイクルショップ・K-shopで、ピンクのママチャリをチョイス(なんかどれもサドルが大きいのはタイスタイルなのでしょうか)。1日30バーツは安いですね! お店のお父さんに勢いよく自転車を押してもらって出発!

もらった地図を頼りに、とりあえず公園の北側にあるインフォメーション・センターへ行きたいと思います。待ちに待った、仏さまたちとの対面です! がんばります!

ワット・ソラサックで記念撮影。

November 3[Tue], 2009 14:33

スコータイはいちおうタイ北部に位置してますので、タイのなかでも比較的涼しいです。風を切りながら自転車をこぐとかなり気持ちいいー。しかも城壁のなかはほとんど車も通らず、小さな蟹が道を横切るほどのどか!

インフォメーション・センターへ向かう途中にあった、キュートな象が土台を支えている遺跡、ワット・ソラサックで記念撮影したり、30頭くらいの牛をつれたカウボーイのお兄さんに遭遇したりしました。自転車はのんびりまわれていいですね。

さぁ、インフォメーション・センターで集めた情報をもとに、次へ出発!

ワット・プラパーイ・ルアンとワット・シーチュム。

November 3[Tue], 2009 15:10

まずは、城壁の外にあるスコータイでもっとも古い寺院、ワット・プラパーイ・ルアン。本堂や礼拝堂、そして仏像などはやはり時空とともに風化したみたいですが、とうもろこし型の塔堂(プラーン)は、700年以上経過していても側面に描かれた蛇や仏像などの模様がまだはっきりとみてとれます。当時はそうとう立派なものだったんでしょうねえ。「幸福な夜明け」という意味のスコータイ、人々は食べ物に困らず、お上にも税金などを搾取されずのほほんと幸せに暮らしていた、らしいです。いいなあ。

さてさて、次はここから北へ800m、ワット・シーチュムへ。現れたのは、高さ15メートルほどもある壁の隙間から見える巨大な仏像。本堂へ足を踏み入れた瞬間、巨大な仏さまの瞳に吸い込まれそうになりました。見守るような優しい眼がわたしを見下ろします。「あなたは大丈夫、しっかり前を向いて進みなさい」と応援されているような不思議な感覚に包まれました。後から知ったのですが、こちらの仏さまは「おそれない者」を意味する「アチャナ仏」と呼ばれているそうです……この後もたくさんの仏像と対面しましたが、今回の旅、3本の指に入るほどのすばらしい仏さまでした!

歴史公園のど真ん中、ワット・マハタート。

November 3[Tue], 2009 16:15

歴史公園のメインエリア、城壁内へ。ここだけでもかなり広い感じで見応えがありそうです。で、まずは真ん中あたりにあるワット・マハタートの境内へ。王室寺院だったというこちらの遺跡は、その当時修復&増築が繰り返されたそうで、高い柱や壁も多く構造がかなり複雑。さきほど訪れたふたつのお寺に比べて、ここはよく残っています。少し座って休憩しながら、遺跡のレンガに触れてみたりしました。なんというか、人工物なんだけど長い時を経て自然に還りつつあるというか、どこか生きているもののような不思議な感覚なんですよね……

池に浮かぶ小島のお寺、ワット・サ・シー。

November 3[Tue], 2009 17:10

気がついたらもう夕方! もう一か所、池に浮かぶ小さな島に建つ、ワット・サ・シーを目指すことにしました。橋を渡ると、柔らかい曲線がうつくしい遊行仏が。悟りを開き人々に歩み寄る姿を表しているそうなんですが、わたしも学びたいしなやかさでした。スコータイ様式というのは女性的な曲線が特徴らしいんですが、こういうのを言うんですかね? あとこの歩いている様子の仏さまというのもスコータイ独自のものらしいです。また奥には、セイロン(スリランカ)様式の丸く美しい仏塔があります。数名のファランさんたちが盛んに記念写真撮影をしていました。ここは夕陽を眺めるのに人気の場所だそうですが、残念ながらこの日は雲が多く、記念すべき夕陽にはなりませんでした。でも、池の真ん中だけに、ちょっと涼しい! ここでも少しのんびりしていたら、レンタサイクル屋さんに集合する時間になっちゃいました。

ナイト・マーケットの近くでマッサージ。

November 3[Tue], 2009 18:24

日が暮れ始めたこともあって、自転車を返してエークさんと合流、市内の市場へ足を伸ばします。タラード・トールンと呼ばれるこちらのナイト・マーケットは、フードコートみたいに屋台があつまり、真ん中にテーブルが並びます。学校帰りの子供たちがおいしそうに夕食をとっていました。都会のバンコクは共働きの家庭が多くてどこも外食して帰るというお話でしたけど、こういう地方都市でもどうやら一緒。女性が働く環境としてタイはいいかもですね!

屋台を散策しているとお腹はかなり減ってきましたが、久しぶりのサイクリングで少しお疲れ。なんてときに、市場を抜けたとこで「ナラワディ」というマッサージ屋さんを発見! 吸い込まれるようにお店の中へ。パワーあるオバさまがコリをゴリゴリほぐしてくれました。やっぱりタイに来たらマッサージですね!

絶品家庭料理、子供たちの宿題の傍らで。ラーン・ルンジョイ。

November 3[Tue], 2009 19:50

マッサージですっきりした後は、夕食です。エークさんに連れられてやってきたのは、しかしおもいっきり民家の「ラーン・ルンジョイ」。なんか子供たちが宿題やってるんですけど……でも「ここは知る人ぞ知るスペシャルレストランなんですよ!」と笑顔のエークさん。なんでも7歳のころから料理一筋だったお母さん、そしてその娘さん……といまでは3世代で切り盛りしている家庭料理のお店なんだとか。店内には「趣味でやってるから期待しないで!」と書かれた紙まで貼ってありますけども、オススメ料理をいただいてみると……めっちゃおいしいや~ん! トムジュード・ギャムチャイ(高菜入りのスープ)に、プラー・ラーグルアイ(揚げた小魚)、パッド・ブァブ(ヘチマと豚肉の炒め物)などなど……ハズレなし。しかも安い! あきらかに食べすぎです。

お腹いっぱいになったあとは今夜の宿、ロータス・ビレッジに帰っておやすみなさい……