Thailand
Globetrotter

テクテクタイランド

Yao Noi / Phang Nga

March 2[Mon], 2009

南の小島でホームステイ

ヤオノイ島[パンガー県]

シミラン・クルーズでダイビングに挑戦し、仮ライセンスも無事ゲット。ただ日程の関係でもう2日ぐらい滞在しないといけません。理由は、ダイビングをした時に体内に取り込まれてしまったであろう窒素が自然に排出されるまで、最低12~18時間は飛行機に乗れないからです(減圧症というものに罹る可能性があるそうです)。そこで、ボスおすすめのヤオノイ島で一泊ホームステイすることにしました。

ヤオノイ島は、プーケットの北隣にあるパンガー県の沖に位置する小さな島。3000人あまりの島民の9割近くはイスラム教徒で、漁や農業などで生計を立てています。そして十数年前から、島民たちが自分たちの家に観光客をホームステイさせて、島の生活ぶりや環境保護のことなどを伝えようと活動を始めているそう。賑やかなプーケットと違ってなんだか素朴なところみたい。今回はガイドのケーキさんが同行してくれるので、心強いです。

出発。

March 02[Mon], 2009 8:30

前の晩から泊まった“Shino House Phuket Hotel & Apartment”のロビーで、ガイドのケーキさんと再会。挨拶もそこそこにすぐさま車に乗り込んで移動。向かうはヤオノイ島への定期船が往来するバーンローン船着場、です。

バーンローン船着場へ到着。ケーキさんが朝ご飯にと、カオニャオ(もち米を蒸したもの)とフライドチキンを近くの売店で買ってきてくれました。それを持って、20人も乗れば満員になりそうなスピードボートへ。ケーキさんによると、どうやらあのサングラスの精悍すぎるおじさんがこの船の持ち主でかつ今日ホームステイする家のお父さん……そして運転席のジャイアンみたいなお兄さんは、その息子らしいです。こ、これは挨拶しなければ!と一度は立ち上がるもののタイミングを計りきれず物怖じして断念。どんなところに連れて行かれるんでしょうか。笑顔で手を振るボスに見送られながらボートは出港。

船内は観光客と地元のひとで半々というところ。さっそくカオニャオ&フライドチキンをほおばりながら(アロイ!)ケーキさんに「ヤオノイ島ってどんなとこ?」と聞いてみました。すると「自然がいっぱい。あとはうーん、ケーキも初めてだから……」えー。とか言ってるうちに船はヤオノイ島の隣にあるヤオヤイ島を経由して(ほとんどの観光客は、ヤオヤイ島で降りてました)ヤオノイ島の南部にあるマノッ船着場(Manok Pier)へ到着。

ヤオノイ島へ上陸。

March 02[Mon], 2009 10:05

船を降りると、一緒に降りた地元の人たちは次々とバイクにまたがって走り去ってしまいました。そこへ"ハロー"とひとりの男性が近づいてきます。こちらが今回ヤオノイの案内をしてくれるラットさん。ヤオノイ島に住んで20年、ホームステイにやって来た人をソンテウ(タイ語で「2列」という意味で、小型のトラックの荷台にベンチが向かい合わせにふたつ取りつけられていることからそう呼ばれてます)であちこち連れて行ってくれます。なんでも島に住んだ理由は「奥さんがヤオノイ島出身だったから……」おおー。そんな身の上話を聞きながらラットさんの運転するソンテウに揺られて走ること10分、ツーリスト・サービスセンターに到着しました。

ホームステイにやって来た人は、まずここで島の説明を受けます。ヤオノイ島は、南北15キロ、東西3キロ、周囲25キロほどの小さい島です。3000人ほどの人が住んでいて85%の世帯が漁業に携わっています。隣にあるヤオヤイ島の方が面積は広いけど、こっちには病院、学校、区役所といった施設も整ってるんですよ、と誇らしげに説明してくれたのは、このサービスセンターにいたバンバウさん。このホームステイプログラムは、島民のみなさんが役割分担をしながら協力し合って行っているそうです。ちなみにバンバウさんは、この施設のお隣に住んでいるから、説明係に任命されたんだとか。そういうの好きです。

到着。すぐさまお昼ごはん。

March 02[Mon], 2009 11:00

その後はさっそく、お世話になるルアンサムットさん一家のお宅へ。スピードボートで遭遇したお父さんはまだ帰宅していないようで、出迎えてくれたのは笑顔のとっても素敵なお母さん。お家は海の上に建っていて、岸から植木やお花が綺麗に飾られている小さな橋を渡ると玄関です。家にお邪魔すると床がすのこ状になっていて、隙間からヤオノイの海が輝いてみえます。すごい! 落とし物したら一巻の終わりですけど……

挨拶もそこそこに、お母さんが部屋へ案内してくれます。ちょっとまぶしい黄色のカバーがかかったベットと椅子があるお部屋でした。かわいいー。ちょっと荷物の整理をしてると、廊下からお母さんに呼ばれます。すると家の奥にあるテラスのテーブルに、ぎっしりと料理が……ボイルした蟹、煮魚、フィッシュカレー、シーフード野菜炒め、トムヤムクン……少し前にスピードボートでもち米とフライドチキンを食べてしまったことを多少後悔しながら、がんばって食べました。だってめちゃくちゃおいしいんですよ! 一番気にいったのは、煮魚。なんと梅干で味つけされていました。恐るべし、オフクロの味。

なんとかしてあの美少女を。

March 02[Mon], 2009 12:50

お腹いっぱいになって、湾内を見渡せるテラスでちょっとまったり……って、すっかり我が家のようにくつろいでいました。風通しが良くて、気持いいです。プーケットでは暑くて、ホテルの部屋でもクーラーを常に入れていましたが、ヤオノイ島ではクーラーなんていりません。涼しくて、しかもみんながゆっくりしているから、のんびりできちゃいます……と、そんなおくつろぎタイムに登場したのが、隣に住む親戚の娘さん、マリサちゃん(2歳8ヶ月)。すっごく可愛いんだけど、とにかく人見知りが激しく、近くまで行くと逃げてしまう……でもこちらに興味はあるみたい。ふふふ、しかしこんなこともあろうかと思ってわたしには持ってきたおもちゃがあるのですよ。まずは和風な万華鏡をプレゼント。一応は受け取ったけどあまり反応無し……ダメかあ。

おかあさんがふたり!?

March 02[Mon], 2009 13:20

マリサちゃんに冷たくされ、打ちひしがれているところへ案内係のラットさんが「出かけるよー」とお迎えに。家の外へ出てみると、着替えたお母さんがニコニコしながら立ってます。お母さんも一緒に行くのかな、なんて一瞬思ったものの、どこかヘン……そして家の中をのぞいてみると、こっちにもお母さんがいる! なんと迎えにきてくださったのは、お母さんの双子の妹さん。どんな瞬間移動やねんと久しぶりにびっくりしました。するとケーキさんが「この島は、イスラム教徒の人がほとんどだからね。イスラム教徒の人は、男性を『バン』、女性を『チャッ』って呼ぶんだよ」と教えてくれました。そこで私は、お母さんを「ママ」、お母さんの双子の妹を「チャッ」と呼ぶことに勝手に決定。いいよねそれで。ということで「ママ、行って来るね。チャッ行きましょー」とラットさんのソンテウに乗って出発です。

島東部を探索。

March 02[Mon], 2009 13:40

島の東側、海沿いの道を10分ほど走ったところで、ストップ。チャッが車の中から声をかけると“Pyramid Bar”という店から女性がひとり出てきました……むむむ。どことなくチャッとママに似てる。どうやら彼女は妹さん。さらに弟さんも登場して、兄弟大集合です。よく聞いてみると6人兄弟なんだとか……ひと通りご挨拶を終えて、また出発。

途中、バイクや自転車で気持ちよさそうに走っている観光客の姿も。電車はもちろん、タクシーも走っていないヤオノイ島では、自分で足を確保する必要があります。道すがら眺めていると、お洒落なコテージやホテルらしき建物もちらほら。ここ数年開発が進んでいるヤオノイ島では、高級リゾートホテルが次々と建設されているそうです。「ホテルがオープンしたら島のみんなも仕事が増えるから、いい面もあるんだけどね」と青く澄んだ海を見ながらチャッが話してくれました。そう、仕事が増えてみんなが潤うのは良いこと。でもこのヤオノイの自然とみなさんの素朴な暮らしは確実に変わっていきます。バランスが取れた共存を願わずにはいられません。

魚の仕掛け籠づくりを見学。

March 02[Mon], 2009 14:07

向かいにクラビの島々が見えるきれいなビーチの片隅で、高さ150センチほどの大きな仕掛け籠をつくっているおじさんと出会いました。木の枠に針金を通してみるみるうちに編んでいきます。深さ15メートルぐらいの海底に沈めて、3日間ほどで引き上げるんだとか。握りこぶしが入るぐらい大きな網目に「魚逃げません?」と聞くと、大物だけを狙うからちょうどいいんだよ、とおじさん。小さな魚が自由に出入りしてくれるから、カゴに入った大物は餌に困らない。だから新鮮な魚を引き上げることができるらしい……なるほど! 20キロぐらいの魚が入っていることもあるそうです。

ただ最近は、この仕掛けカゴを編める人が減っているそう。こういう伝統文化も残って欲しいなぁと勝手に思ってしまった午後のひと時。通訳をしてくれていたケーキさんも、初ヤオノイ島ということで、興味津々。色々質問してました(仕掛けカゴひとつ、だいたい3000バーツなんだとか)。

ターコッ船着場(Tha Khao Pier)。

March 02[Mon], 2009 14:20

島の東側にあるもうひとつの船着場、ターコッ船着場へ(クラビからの便のみ到着する船着場です)。船着場すぐ横には、小さなクラフトセンター。ここは島の女性たちが集って手に職をつけるべく学んでいるところだそうで、ちょうど私が行った時にはバティック染めをしていました。ロウで下書きをしてから、色をつけたり水でぼかしたり、という細かい作業。根気がいりますね……と眺めていたところ、ものすごい雨が降ってきて、結局1時間ほど休憩。ラットさんいわく「大雨になるよ。3日ぐらい前に見たニュースで言ってたよ」3日前のニュースって……かなり前の情報のような気がしますが、こんなのんびりしたところもいいですよね、ね。しばらくはすごい勢いで降りしきる雨をぼーっと眺めながらすごします。

ココナッツ細工のお土産屋さん。

March 02[Mon], 2009 15:34

1時間ほど足止めをくらった後、ようやく雨が止んできたところで、クラフトセンター向かいにあるココナッツを使った商品を製作&販売しているお土産屋さんへ(すごいきれいな女の人が修行中でした!)。ボールやソープケース、ピアスetc色々な商品を物色。そしてキーホルダーと孫の手をお土産として購入しました。

農園でスイカその他を食べる。

March 02[Mon], 2009 16:20

続いて島を東から西へ横断して、とある農園へ。果物を中心に育てているというこちらの自慢はスイカ。プーケットなどでも高く売られているヤオノイのスイカは、小ぶりだけどとっても甘くておいしいんです。思いっきり試食しました。みなさんもぜひぜひ!

農園を出ると向かいに広がる田んぼには水牛の群れが。ヤオノイ島では1年に1回、雨季(グリーン シーズンにだけお米をつくります。私が行った時は稲作時期ではなかったため、田んぼを自由にお散歩してました。この水牛さんたち、お米をつくっていないときは、島中を自由にウロウロしていて(他人の田んぼでもOK!)飼い主は自分の水牛を探して餌(というかおやつ?)をあげるそうです。ちょうど餌をあげに来たお父さん&兄妹と出会ったんですが、お父さんが呼ぶと、ちゃんと飼っている水牛が来るんですよ! そして餌をもらって満足そうな水牛くん。とそこに、お父さんのではない水牛が1頭、お腹が空きすぎたのか突進してくるではありませんか……間近でみる水牛はけっこうな迫力です。ちょっと怖かった。

モスクとイスラムの学校。

March 02[Mon], 2009 16:56

イスラム教徒の多いヤオノイ島には、8つのモスクがあるそうです。そのうちのひとつを訪れると、子供たちがなにやら集まって外で料理をしてます! 彼らはふつうの学校が終わったあと、モスクに併設されたイスラム教の学校に通っている子供たち。どうやら今日はその課外授業です。今日はここにキャンプで一泊なのよ、と女の子チーム。ちょうど夕食作りの真っ只中で、カレーのいい香りが……なんだかとっても楽しそう。片や男の子チームは、煙ばかりがたちのぼってどうも料理に苦戦している感じ……あははは。先生も「とにかく炒めろ!」みたいな感じでちょう大ざっぱです。でもみんな、何にでも楽しんでいる雰囲気とキラキラした瞳が印象的でした。そうこうしているうちに、またまた雨が降ってきたのでソンテウに乗って移動。

ここがヤオノイのメインストリート。

March 02[Mon], 2009 17:23

小雨になってきたところで、ヤオノイ島いちばんのメインストリートへ到着。ちょうど夕方だったこともあり、食料品を中心としたお店が並んでいる通りは、地元の人で賑わっていました。ルークチン・トードと呼ばれている真っ赤な串揚げは、一串10バーツ。魚のすり身団子やソーセージ、カニカマといった具材は、見た目の赤さに衝撃的な辛さを想像してみたものの、ほどよい辛さ&パクチーが効いていておいしかったです。お祭の屋台みたいに買い食いしつつ歩きます。たのしいですね。インターネットカフェも発見! 料金は1時間40バーツだそうです。

とウロウロしていると、サイドカーに乗る小学生ぐらいの3兄弟を発見。運転は長男(と思われる少年)。お母さんのお遣いにでも来たのでしょうか? 子供がバイクを運転しているだけでもびっくりですが、この長男、けっこう乗り慣れてるようで、うまーくUターンして帰っていきました……やるな少年! 姉さんは惚れそうだったよ(運転の上手い男性に30女は弱いです)。

帰宅して夕食。食べますよ。

March 02[Mon], 2009 18:15

そんな感じで島内見学を終えて、「我が家」へ帰るとママは夕食の準備中。「お手伝いします」とキッチンに入ってみるものの「いいから、いいから……休憩していなさい」と笑顔のママ。いやいやそうですか? と、ちゃっかりお言葉に甘えた私は、日本から持ってきたおもちゃを抱えて再びマリサちゃんのもとへ。まずは折り紙を折ってみようかと。手先の器用な日本人をみせつけてやります。というわけで折り紙の包装に描かれた「鳥の小物入れ」にチャレンジ……と、思ったより難しい。あー姫さまは明らかに退屈していらっしゃる!

これはイカンと(さりげなく折り紙をなかったことにして)「吹き戻し」を取り出してみたところ、やりました! これがマリサちゃんの心を鷲づかみですよ。その昔、駄菓子屋さんや縁日でよく見かけた、息を吹き込むとピーッと音が鳴りながら、紙が伸びるアレです。とにかく吹き戻しを吹きまくるマリサちゃん。その度に最高の笑顔を見せてくれました……なんて可愛いの!

ようやく仲良くなったマリサちゃんを横に座らせて夕食。春雨入りシーフードスープ、巨大しゃこのニンニク炒め(伊勢エビみたいでした!)、えびとインゲン豆の炒め、魚の甘酢あんかけ、ボイルした蟹……ヤオノイ島のおふくろの味がたくさん並び、おなかいっぱい。とくに蟹はもうしばらくいいわーってくらい食べましたよ!

ロティも食べましょうよ。

March 02[Mon], 2009 21:03

おなかいっぱい食べたはずなのに、島の案内人・ラットさんの「デザート食べに行く?」の一言で、お出掛け決定。イスラムさんではもちろんロティでしょ!

というわけでソンテウに乗って到着したのは、夕方に出かけた繁華街にある島いちばんの人気店ロティ・シャウコッ。小麦粉と卵でつくった生地を焼くロティの専門店です。メニューは、バナナやココナッツなどが入ったデザート系から、ツナ、ハム、チキンなどが入ったおかず系まで幅広く、かなり悩みつつプレーンとバナナ、そしてココナッツをチョイス(1品=20バーツ)。ちょっと甘めでしたが、「中はモチモチ、外はパリッと!」という最高の歯ごたえで、あっという間に完食。次の機会にはおかず系にチャレンジします!

そうそう、お店の前はT字路になっていて、道の中央に石の標識のようなものがありました。地元の人に聞いてみると、これは「島唯一の交通標識」なんだとか。ヤオノイ島は信号もなく、ほとんどの人の交通手段はバイクです。貴重な交通標識ですね。カーブミラーが取りつけられたのも最近らしいです。ここは島いちばんの交通量を誇ってるんでしょうかね。ちょっと気になりながら我が家へ戻り、まんまるのお腹をかかえつつ海の水がちゃぽちゃぽいう中で就寝。