象を大切にする持続可能なツーリズム

エレファント・ケア・ツーリズム

Elephant Care Tourism
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タイでは毎年3月13日は『タイ・エレファント・デー』という象の日です。これはタイの人たちが象が国の大切な動物として尊重されている証です。何世紀も生活をともにしている家族の一員なのです。

タイ全土には象が観光業に従事するために、3,000頭以上飼育されています。彼らは、全国22の県にある250カ所のエレファント・キャンプで暮らしています。

かつて、象は主に林業に従事するために訓練されていましたが、1989年以降、政府が出した森林伐採廃止の政令により、飼育していた象を自然の生息地に戻すことが難しくなりました。その結果、象は観光産業の中で新たな役割を担うことになりました。

『エレファント・ケア・ツーリズム』は、“サステイナブルツーリズム – 持続可能な観光”の一環として、観光産業に従事する象を大切にする持続可能なツーリズムです。

象の福祉・象の保護・明確な基準の3つの柱と戦略に基づいた運営を表す3つのC

人間によるケアの必要性など、飼育されているタイの象の状況を国際的に(特にタイに旅行者を送るツアーオペレーターに)広めるために3つのCを掲げています。

1.コミュニケーション(Communication)

タイ国内の象の飼育に関する事実に基づいた情報を提供し、国民の理解を深める必要があります。正確な情報を発信することで人々に広く認識してもらいます。

2. 共同作業(Collaboration)

タイ人と外国人を含めた観光業界全体で共に、国際的な規範に基づいて活動するためにお互いに協力し議論する必要があります。

3. 歩み寄り(Compromise)

すべての関係者が納得できる基準を作ることで、共通の利益のために前向きで建設的な前進をします。
 

タイの象に関する基準が制定されたことは最も重要な法案の1つ

タイ国家畜開発局は、飼育象の福祉ケアに関する法案を農業大臣に挙げ、強制力を持つ法案として公布するために内閣に提出しました。これは、動物虐待防止法と動物福祉法に基づいて行われます。この基準法案が施行されると、象を飼っている施設は定期的な検査と監査が必須になります。家畜局、州行政局、国立公園・野生生物・植物保護局と共同で協議されている飼育象のための初めての法案となるため、現在許可待ちです。

また、家畜開発局では、動物が虐待された場合に当局に通報するシステムを構築しています。一般市民は、DLD4.0モバイルアプリケーションを使って直接通報できます。
 

タイでは動物福祉の向上が続いている ー パトラポン・マネウン博士 ー

タイ国立公園・野生動物・植物保護局(DNP)の野生動物獣医師であるパトラポン・マネウン博士は、何世紀にもわたって続いてきたタイ人の動物との絆について、また、タイにおける動物、国立公園、野生動物の保護と福祉の将来について、常に希望を持って楽観的に考えていることを語っています。

タイの象・動物福祉の現状

大きく分けて問題が2つあり、1つ目は、野生動物と人間との対立。野生動物の生息地が失われているため、人間と野生動物が以前にも増して接近して生活しています。森林破壊、野生動物のペット化、気候変動などの要因があります。私たちの地域(アジア)では、動物の違法取引や消費などの人間の行動も重要な要因となっています。これらの要因が重なって、野生動物は人間と対立するようになります。

もう1つの問題は動物虐待。これは社会の感情とタイの評判の両方に影響を与えます。テクノロジーのおかげで、タイの人々や観光客は、動物虐待の疑いがある場合、ソーシャルメディアを通じて政府に報告したり、コールセンターに報告することができます。

都市部の懸念と象の法律上の地位

都会で象が歩くと「熱いコンクリートの上を歩いて足が痛いのではないか」という懸念があるのは明らかです。実は象の足裏には脂肪がついていて、熱い路面から守ってくれています。そして象は熱さを感じません。
しかし、街を歩けば、釘やガラスの破片を踏んでけがをする可能性が高くなり、街で歩かせることは、人道的にも適切ではなく、車に轢かれたり、排水溝に落ちたり、電気ショックでけがをしたりする可能性もあります。

それでもタイの街に象がいるのは、法律上、象使いが象を連れて行く権利を持っているからです。タイはアジアで唯一、象に「野生動物」と「使役動物」という2つの地位を与えている国です。野生の象は、野生動物として法律で保護されています。一方、家畜として飼育されている象は、バッファロー、牛、羊、ヤギ、ロバなどの他の家畜と同様、労働動物に分類されます。虐待する人はごくわずかで、大多数はそうではありません。

近い将来、象を「働く動物」のリストから外し特別な保護対象とすることを計画しており、そのために飼い主の世話や扱い方について新たな規制を設ける可能性があります。

動物プレゼンテーション:タイの動物園の新しいトレンド

現在、タイの政府機関は、アニマル・ツーリズムの新しいコンセプトである「アニマル・プレゼンテーション」を推進しており、これは世界中の動物園組織に関連しています。動物園は現在、動物の福祉に重点を置き、動物の自然環境をいかにして可能な限り再現するかを考えています。動物たちには、狭いケージの中ではなく、広くて豊かな自然環境の中で暮らしてほしいのです。

タイの国立公園・野生生物・植物保護局の動物福祉への取り組み

政府機関は、政策立案、野生動物に関する研究の支援、傷ついた動物のリハビリ、野生動物の違法取引の根絶など、さまざまな方法で問題に対処しようとしてきました。

象、トラ、バンテンなど多くの野生動物の数が増えています。タイに野生の象が3,500頭、家畜として飼われている象が4,500頭いると言われています。現在では、象の写真、DNA、象使いのプロフィールを含む新しい電子プロフィールシステムに、すべての象が個別に登録されています。

もうひとつの取り組みは、この数年間、動物を守るために重要な役割を果たしてきました。旅行会社や個人旅行者など動物を大切にしていない企業をボイコットすることで、この数年間、動物を守るために重要な役割を果たしてきました。政府機関は、企業などには要求される基準を満たすために専門家によるトレーニングを提供することで支援を行っています。

タイは「Thailand Zoo Standard」という独自の動物園基準を法制化しています。世界には、世界動物園水族館協会(WAZA)や東南アジア動物園水族館協会(SEAZA)、多くの動物園基準があります。タイにはさまざまな種類の動物園がありますが、多くの中小企業は、限られたリソースに見合わない規制があるため国際基準に従うことができません。

また、タイの国立公園・野生生物・植物保護局には独自の獣医チームがあり、すべての動物園を定期的に調査し、動物の世話が適切に行われているかどうかを確認しています。

動物福祉の徹底

タイで野生動物を所有するためには、野生動物所有許可証が必要です。また、動物は野生で捕獲されたものではなく、家畜として飼育されたものでなければなりません。動物虐待は、2014年に動物虐待防止および動物福祉法(タイ歴B.E.2557)により違法とされています。

どのように動物福祉活動を推進し、旅行者の意識を高めることができるか

タイ社会のメンバーと直接コミュニケーションをとるなど、積極的な戦略をとることに重点を置いています。ソーシャルメディアなどを利用して情報ネットワークを構築し、旅行者に重要な問題を伝え、意識を高めることができます。私の考えでは、動物虐待に関する現行法を厳格に施行し、違反者の逮捕を公表することで、これまでの前向きな進展につなげる必要があると思います。

動物福祉を推進するために国立公園野生動物・植物保護局に期待

私たちが行っているのは、タイ国内のさまざまな組織や部門と協力して、動物の虐待を減らし、できれば排除することです。私たちが協力しているのは、自然環境以外に生息する野生動物を管理する国営企業のZoological Park Organizationです。動物園機構と協力して、より多くの野生動物を研究し、繁殖させ、自然の生息地に戻すことを目的としています。

タイの動物虐待は劇的に減少していると思います。動物の福祉と保護が改善されるにつれ、タイの一般市民の社会的意識も向上しています。これらは正しい方向への非常に小さな一歩ですが、私がタイの動物保護と福祉の将来を非常に希望的に見ている理由の一部です。

タイ東北(イサーン)スリン県の象と暮らすタクラン村

 

ランパーンとチェンマイで「エレファント・ケア体験学習の旅」

エレファント・ケア・ツーリズム・プロジェクトの一環として、ランパーンとチェンマイで3日間の「エレファント・ケア体験学習旅行」を開催しました。タイで象と触れ合える観光をより持続可能なものにし、動物たちがより良い生活を送れるようにするために取り組みを理解してもあることが目的です。

タイのエレファント・キャンプで暮らす象は、野生ではなく飼育されており、人間が世話をしなければ生きていけないということを認識する必要があります。飼育されている象を野生に戻すことは、象が自活できない状況を作ることになり現実的ではありません。

エレファント・ケア体験学習の1日目


ランパーンにあるタイ象保護センターとタイ・エレファント・ホスピタルを訪問し、常駐の獣医師から、タイにおける象の過去と現在の状況、そして象の健康を守るためのセンターの取り組みについて話を聞きました。また、病院で世話をされている象や、近くの森で自由に餌を食べている象の姿も見ることができました。

エレファント・ケア体験学習の2日目


カンタ・エレファント・サンクチュアリを訪問しました。かつて観光業や伐採業に従事していた象のための引退施設で、現在は敷地内を歩き回り交流を深め、淡水のラグーンで水浴びができます。

保護区(保護施設)の使命は、できるだけ多くの象に健康と自由と幸福を与えることですが、同時に、象に対する認識を前向きに変え、酷使されたり虐待されたりするのではなく、むしろ配慮と愛情と敬意をもって扱われる未来を実現することを願っています。

この博物館は、象のフンの繊維から紙製品を作る様子を展示した環境に優しい屋外博物館です。フンの収集から水洗い、最終的に製品ができるまでの各工程を説明するパビリオンを巡るウォーキングツアーを実施しています。

エレファント・ケア体験学習の3日目

チェンマイのパタラ・エレファントファームでのワークショップに参加しました。ここでは、ここでは、1日飼い主「エレファント・オーナー・フォー・ア・デイ」プログラムで、象への正しいアプローチの仕方、象の気質、餌の与え方、健康状態のチェック、入浴や餌の与え方、会話によるコミュニケーションの取り方など、タイ人の象使いにように生活を共にするパートナーとしての象との付き合い方を学ぶことができます。

エレファント・ケア体験学習の旅では、北部チェンマイとランパーンの歴史的・文化的な要素をはじめとする、チェンマイとランパーンで有名な他のアトラクションも体験することもできます。


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