【私とタイランド】Vol.1:富田克也さん(映画監督)

ニュー・ニュー・タイランド 僕たちが好きなタイランド コラム企画「私とタイランド」第1回

タイを愛する著名人の皆さんのお気に入りのスポットを紹介するコラム企画「私とタイランド」。第1回に登場いただくのは、バンコクの歓楽街に生きるタイ人女性と日本人男性の群像劇を描いた映画『バンコクナイツ』(2016年)の監督、富田克也さん。撮影に際してタイに移住し、タイとラオスでオールロケにて製作された同作は、第 69 回ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門で「若手審査員・最優秀作品賞」を受賞したほか、タイでも上映され大きな話題となりました。そんな富田さんに「夜のタイならではの文化」をテーマにお伺いしました。

タイに行くようになり、最初にハマって足繁く通ったのが、バンコクのビアホール「タワンデーン」でした。食べて飲んでバンドの生演奏が聴けて、踊りたければ踊って、DJタイムもあって、一箇所で全部が楽しめる文化は、楽しむことに貪欲なタイ人らしい独特の文化だなと羨ましいかぎりでした。日本ではご飯を食べるところも、お酒を飲むところも、音楽を楽しむ場所も分けられていて、なんだかめんどくさいし、日本人は楽しむのが下手なんだなと思い知らされた気分でしたね。「タワンデーン」には、暑い国ならではのタワービールサーバーをはじめ、料理もなんでもあるので、ここでタイ料理を食べて学んでいきました。店内のショーも、生バンドの演奏と生歌がとにかく洗練されていて、オールドスクールから最新のヒット曲まで次々とカバーしてくれるので、タイの音楽を知るにはもってこいの場所だと思います。
「夜のタイ」というと、夜市もタイならではですね。ホイクワン夜市なんかは、そもそも始まるのが20時から朝までと、日本では考えられないような営業時間で。遅い時間からでも朝まで買い物や食事が楽しめるのは便利だし、いつも賑わっている楽しい場所でした。ある時、こんなに遅い時間から始まるのは、夜の街で働く女性たちが仕事を終えてからでも集まってこられるように、と教えられました。こうしたタイという国の文化を知っていくことは、映画『バンコクナイツ』にもつながっていきました。『バンコクナイツ』を作るにあたり、よく足を運んだ場所でしたね。

●スポット情報
Tawandang German Brewery
462/61 Rama 3 Road, Yannawa, Bangkok 10120

Huai Khwang Night Market
Soi Pracha Rat Bamphen, Din Daeng, Bangkok, Thailand

(プロフィール)

富田克也(とみた かつや)
1972年山梨県生まれ。映画監督。映像制作集団「空族」の一員。処女作『雲の上』(2003)、『国道20号線』(2007)発表後、2011年の『サウダーヂ』で、ナント三大陸映画祭グランプリ、ロカルノ国際映画祭独立批評家連盟特別賞、高崎映画祭最優秀作品賞、毎日映画コンクール優秀作品賞&監督賞を受賞。その後、フランスでも全国公開された。以降もオムニバス作品『チェンライの娘 (『同じ星下、それぞれ夜より』)』(2012年)、『バンコクナイツ』(2016年)、『典座-TENZO-』(2019)が公開。

旅に必要なリスト

おすすめ情報・キャンペーン

スペシャル企画