3年ぶりのタイを訪れて。現地レポート

ニュー・ニュー・タイランド 僕たちが好きなタイランド Vol. 7 (番外編)

パンデミックが起きてから3年ぶりに訪れたタイ。僕たちもそうだったようにタイのみんなもこの数年間大変だったはず。久しぶりに会う仲間。「大変だったよね、どうしてた?」という話になるかと思えば、みんなが口にしたことは今取り組んでいる新しいこと、これから挑戦しようと思っていること。会えなかった間に彼らはそれを進化させさらに前へ進んでいた。キラキラとした目でそれを楽しそうに話してくれた。話を聞くだけでわくわくすることがたくさんじゃないか!

“タイは若いうちにいけ” 90年代にテレビコマーシャルで流れていたキャッチコピーがとても印象的だった。バックパックを背負った若者がお寺を見学したりトゥクトゥクに乗ったり辛いタイ料理を食べたりして、タイならではを実体験するコマーシャル。そのコマーシャル効果があってなのか、タイはバックパッカーの聖地といわれるようになった。僕が初めてタイを訪れたのが2005年。そのイメージを引きずったまま街へ出てみると、想像していた感じとはちょっと違う。タイのスケートボードのブランドはあるし、おいしいコーヒーが飲めるカフェもある。音楽もいろいろだしアートギャラリーもある。これまで見たこともない新しさとタイらしさが融合されていて、あっという間に魅了されてしまった。

初めて訪れたバンコクが、なぜか90年代の東京のように思えた。それはバンコクが東京より10年遅れているというわけではなくて、90年代の東京のように街にパワーが溢れていたからだ。Soiと呼ばれる大通りから一歩入り込んだ路地裏。そんなところで若者が自分たちの好きなことを追いかけ、追求し続ける姿がとても魅力的に感じた。それをもっと知りたくて、路地の奥へどんどんと入り込む。そこで出会った出来事をまとめた本『New New Thailand 僕が好きなタイランド』を2019年に出版。

あれから3年と少し。タイはその間にもさらに進化してもっと面白くなっている。連載も中盤になりました、タイからのレポートをお届け。

今回は成田からバンコク乗り換えでチェンマイへ。パンデミック前よりも観光客は少なめだったけれど、街は現地の人たちで賑わっている。チェンマイは街で暮らす人たちの姿がよく見える。それを見ながら街を廻るのが楽しい。

新しく生まれ変わったアカアマコーヒーへ

まず訪れたかったのが、ワットプラシンの近くにあるカフェ、アカアマプラシン店 ( Akha Ama Phrashign )。これまでアカアマ2号店としてチェンマイを訪れると何度も立ち寄っていたこの店舗が昨年にリニューアルオープンした。正確には隣の場所へ移り、オープンさせた新店舗だ。北タイの少数民族の一つ、アカ族出身のリー君が運営。彼のお母さんが山岳地帯の村で始めた農園をリー君が引き継いだ。村の人たちと一緒に自分たちの村のため、そして環境問題をも考えた持続可能な方法でコーヒーを栽培。そうやって収穫したコーヒーの豆を自分たちで焙煎し、現在チェンマイに3店舗あるカフェで提供している。栽培、収穫、焙煎、そしてカフェでの提供まですべてを自分たちでおこなっている珍しいコーヒーブランドとして世界中から注目を集めている。今回はその新店舗へやっと訪れることができた。

店内に入ると偶然にもリー君がコーヒーを飲んでいる。このカフェの新しい内装についてたくさん話してくれた。店内向かって左側の壁には古いレンガを、そして右側には新しいレンガを使っている。これは北タイの古い文化と新しい文化が混じり合う場所という意味を表しているという。


山なりの形に張られているレンガ、川のように緩やかにカーブした階段は北タイの風景を表現している。トイレの入り口付近にはこの建物が元々銀行だったという形跡を残したくて、実際に使われていた金庫が置いてある。両親が大切にしてきたコーヒー農園。その村で収穫されたコーヒーを多くの人に飲んでもらいたい。そして村の人たちとこれからもずっと農園を続けていくために活動しているリー君。そのストーリーと想いをコーヒーと共に体験できるすばらしいカフェだ。

アカアマコーヒーは2年前に東京神楽坂に支店をオープン。アカアマの農園から直送されたコーヒーを飲むことができる。アカ族の村の人たちの想いやコーヒーのストーリーを日本で体験できる。

上手で快適な移動手段

路線図のあるバスや電車という公共交通機関のないチェンマイの移動はソンテウという乗り合いタクシーかトゥクトゥクがメインになる。僕がこの街で気に入っている移動手段はレンタルスクーター。コンパクトなこの街を自由に動くには最適。バイクに不安がある人はレンタル自転車もいいかもしれない。もっとのんびりと街を廻ることができるしね。しかし、バンコクへ移るとその事情も大きく変わる。

バンコクでの移動はBTSと呼ばれるスカイトレイン、地下鉄のMRT、タクシー、路線バス、水上バス、バイクタクシーと公共の乗り物は多種多様。訪れるたびに、BTSやMRTは路線をどんどん延ばしていてこの街の成長がよくわかる。バンコクの移動で大変なのが、街の名物にもなってしまっている交通渋滞。普段なら10分で行ける距離なのに、ラッシュアワーに引っかかってしまうと1時間かかってしまうこともざら。


そしてバンコクでのタクシー事情は日本とは違っていてひと癖ある。道ばたで空車のタクシーを停めても、乗車する前にまずは行き先を告げて、ドライバーがその目的地へ行ってくれるかを確認しなければならない。基本的にメーターがあるけれど、それを使わずに値段交渉される場合もある。乗った後もメーターを使ってね!って確認することもマスト。それになかなか細かいルートだと言葉も通じなくて説明に苦労する。

そこで便利なのがGrabというアプリだ。日本やアメリカで人気配車アプリ、Uberのタイバージョン。タイでは何年か前にGrabがUberを買収したそう。タイの人はこのアプリを使ってフードデリバリーを頼んだり、移動に使ったりしている。移動したいと思ったらアプリを立ち上げて迎えに来て欲しいロケーションと目的地を設定。料金も事前に表示されるのでとても便利だ。それと一人で乗車する場合、バイクを指定して呼べるので、今回の取材ではほとんどGrabバイクで移動をした。クルマより値段は安いし、なによりも渋滞した道もすいすいとすり抜けて行けるので、とても便利なシステムだ。バンコクを訪れるときはGrabのアプリをダウンロードすることを忘れずに!

アーティスト/バリスタのサンドとのランチブレイク

そうそう、アーティストで「co-incidence.process.coffee」をやっているサンド。『New New Thailand』の書籍のタイトルの文字を書いてくれています。カフェに立ち寄ったとき、ちょうどお昼休みだというので近くにある老舗クイッティオ屋でランチをすることに。昼時はいつも行列。店に入ると昔のバンコクってこんな感じだったのかな?と思わせる趣のある店内。もちろんクーラーはなし。





席に着くとサンドが自分のカフェから持参してきたペーパーナプキンを手渡してくれた。「この店はナプキンがないからいつも持参しているんだよね」。汁物の店でナプキンが欲しくなる可能性はとても高い。サンドらしい気遣い。まるでタイムスリップしたかのような食堂でラーメンを食べた後は、サンドのカフェに戻ってコーヒーをオーダーしてゆっくりと過ごした。昔と今のバンコクを同時に楽しむ。なんだかこういうところがバンコクらしいんだよね。ちなみにコーヒーの値段の方が高い!

時代と共に変化するタイの袋文化

3年ぶりに訪れたタイで変わっていたことの一つ、これは『New New Thailand 』の本でも取り上げていた、袋文化がちょっと薄れていたこと。市場でお惣菜や汁物も袋詰めにされて渡されるし、コーラだって氷とコーラを直接入れた袋にストローを刺して渡される。

コンビニでアメ一つ買っても小さな袋に入れてくれるくらい袋文化。それが2020年1月1日からレジ袋が有料化。相変わらず市場のお惣菜などは汁物を含め袋詰めだけれど、コンビニでレジ袋が欲しいときは買うしかない。環境を考えるととてもいいこと。それに新しいレジ袋は厚みもあり何度も使えるようになっているのも嬉しい。特に旅行者にとってスーツケースにお土産を詰めるときにその袋を再利用できるので何かと便利だし、日本に戻ってきてからも使える。


定番土産のアレもちょっと進化

タイの定番土産といえば鼻スースー。ヤードムと呼ばれているミントやメンソールの成分が入ったスティック状の物を鼻にあてて吸う。ミントの強い刺激で鼻がすーっと通ってくせになる気持ちよさ。タイの街を歩いているとかなりの頻度でみんなスースーやっている。そのヤードムのちょっと進化したおしゃれバージョンが発売されていた。見た目もおしゃれで一見それとは気がつかない。新しいタイ土産にいいかも。

バンデミック直前に出版した『New New Thailand』。協力してもらったみんなにお礼を言う旅のはずが、みんなに励まされる旅になった。パンデミックの苦労話や懐かしむ時間もなく、3年分、いやそれ以上に進んでいる彼らからたくさんの刺激を受けた。初めてバンコクを訪れた時、「90年代の東京のようだ」と感じてわくわくしたけれど、今回はまた違う感情が湧き出た。まだ言葉にできないその答えを見つけるために僕の旅はまだまだ続く。

■Akha Ama Phrasingh
175 2 Rachadamnoen Rd, Tambon Si Phum, Mueang Chiang Mai District, Chiang Mai 50200 Thailand
@akhaamacoffee

■Akha Ama Japan
〒162-0817 東京都新宿区赤城元町1−25
@akhaamacoffee.japan

■Saew Fish Noodle Thonglor
1 Sukhum Vit 49, Khwaeng Khlong Tan Nuea, Khet Watthana, Bangkok 10110 Thailand

■co-incidence.process.coffee
4 Sukhum Vit 49, Khwaeng Khlong Tan Nuea, Khet Watthana, Krung Thep Maha Nakhon 10110 Thailand
@coincidence.process.coffee

写真・文:竹村卓
■ カルチャーブック『New New Thailand 僕の好きなタイランド』

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