タイ東北部、イサーン地方。のどかな田園が広がる農村地帯で、タイ国土の約1/3がこの地に属しています。クメール遺跡の集中する南イサーンに対して、ラオスの影響を受け、独特の文化や風習が見られる北イサーン。まだまだ日本人観光客には馴染みの少ないエリアではありますが、実はディープな魅力溢れるディスティネーションです。そこで、「北イサーン」の魅力をたっぷりとご紹介します。
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[ 目次 ]
- 北イサーンってどこにあるの?
- 旅の魅力 その1、タイ随一の「恐竜王国」で恐竜三昧
- 旅の魅力 その2、伝統を受け継ぐ「シルク村」を訪れる
- 旅の魅力 その3、「イサーン文化」を体感できる寺院を巡る
- 旅の魅力 その4、本場の「イサーン料理」を堪能する
- 北イサーンの主なイベント
北イサーンってどこにあるの?
イサーン20県のうち12県(ルーイ県、ノーンカーイ県、ブンカーン県、ウドーンターニー県、サコンナコーン県、ナコーンパノム県、ムックダーハーン県、コーンケーン県、カラシン県、ローイエット県、マハーサーラカーム県、ノーンブアランプー県)が北イサーンに属します。うち、中央部に位置するコーンケーン県以下4県は、中部イサーンとも呼ばれています。
- ルーイ県
- ノーンカーイ県
- ブンカーン県
- ウドーンターニー県
- サコンナコーン県
- ナコーンパノム県
- ムックダーハーン県
- コーンケーン県
- カラシン県
- ローイエット県
- マハーサーラカーム県
- ノーンブアランプー県
観光地としては、ウドーンターニー県のタレー・ブア・デーン(紅い睡蓮の海)やユネスコ世界遺産バンチェン遺跡、ルーイ県のピーターコーン・フェスティバルなどが有名です。
北イサーンの中心地・コーンケーン県には、バンコクから空路約1時間。プーケットやチェンマイからも毎日直行便が運航しています。周辺県にはそこから車で行くのが便利。さらに北のウドーンターニー県やルーイ県、ノーンカーイ県も、空路1時間強でアクセスできます。
北イサーンの中の2県、コーンケーン県、カラシン県の魅力をお伝えします。
旅の魅力 その1、タイ随一の「恐竜王国」で恐竜三昧
タイでは恐竜の化石が多数発掘されており、中にはタイでしか見られない固有種も存在します。これらの化石の半数はコーンケーン、カラシンの両県から出土していて、現在も発掘され続けています。本格的な大型恐竜博物館や、発掘作業場、恐竜の足跡が残る自然公園など、恐竜ファンならずとも楽しめる「恐竜サイト」はこのエリアの大きな見どころのひとつです。
東南アジア最大の自然史博物館「シリントーン博物館」
カラシン県にある「シリントーン博物館」は、東南アジア最大の自然史博物館。地球の誕生から恐竜時代、哺乳類・人類の出現まで時代を追って、詳細に展示しています。恐竜のレプリカや、実際の化石が保管・調査されている研究室などがあり見ごたえたっぷり。特に、タイで発掘された恐竜の等身大骨格標本が集うエリアは迫力満点で、その姿を体感できます。この地で発見された大型植物食恐竜「プーウィアンゴザウルス」や、ティラノサウルスの祖先と言われる肉食恐竜のレプリカもあります。
タイで最大規模の恐竜化石「プー・クムカオ恐竜発掘所」
シリントーン博物館の裏にある化石の発掘作業場。研究員たちが土の中から骨を掘り出す作業を、目の前で見ることができます。骨は、首の長い植物食恐竜と推測されていて、とてもきれいな状態で残っています。本物の化石を間近で見られる貴重な機会となるでしょう。
その他、カラシン県の「プーフェーク森林公園」では、約1億数千万年前に生息していた大型肉食恐竜の足跡が7つ見つかっており、うち4つは今もはっきりと確認することができます。
旅の魅力 その2、伝統を受け継ぐ「シルク村」を訪れる
昔ながらの手織り布「バーンポーン・プレーワー・シルク織物センター」
プレーワー・シルクは昔ながらの手織り布で、村では養蚕から染色、機織まですべての工程を民家の傍らで行なっています。伝統的な幾何学模様のほか、動物や植物など自然のものを織り込んだ柄もあり、中には恐竜柄も。村の中心にはお土産物売り場があり、布や小物を買うこともできます。
旅の魅力 その3、「イサーン文化」を体感できる寺院を巡る
ラオス文化圏の北イサーンでは、土着の信仰と合わさった独特の地域文化が根付いています。それらは伝統芸能やアート、祭りなどで見ることができます。特に寺院はユニークなものが多いので、訪れて異文化を感じてみてください。
壁に美しく施された芸術的な壁画が有名な寺院「ワット・チャイシー」
コーンケーン県にある「ワット・チャイシー」は、お堂の壁にびっしりと施された壁画が有名。イサーン地方に伝わる、イサーンの人々の間で語り継がれてきた物語が藍色と金色で描かれています。ユーモラスなイラストは、まるで現代アートのよう。寺院は20世紀初頭に建てられ、村人の心の拠り所となっています。
寺院では、イサーンに伝わるパフォーマンス「モーラム」も見学可能です(要事前予約)。笙のような笛「ケーン」をはじめとする伝統楽器を使った演奏や、ユニークな歌とダンスは見もの。イサーンの独特のリズムに思わず体が動き出してしまうかもしれません。
100万本のもち米の稲穂が使われる「ライス・キャッスル(奉納祭)」
カラシン県の「ワット・サウェッタワン・ワナラーム」では、毎年2月上旬に行なわれる奉納祭で、巨大なお米のお城(ライス・キャッスル)が造られます。ライス・キャッスルには100万本以上のもち米の稲穂を使用し、お城はたくさんの稲穂で金色に輝くまさに大地の恵み。夜になるとイルミネーションで彩られ、日中も夜もとてもフォトジェニックです。
旅の魅力 その4、本場の「イサーン料理」を堪能する
イサーン料理はバンコクでも人気が高いですが、やはり本場はひと味違います。地元で採れた新鮮な食材を使った料理は、滋味深く自然の恵みを感じられることでしょう。
イサーン料理は辛味が強く、魚の発酵調味料(プラーラー)やハーブを多用していることが特徴。代表料理には、ガイヤーン(鶏の炭火焼)やソムタム(青パパイヤのサラダ)、ラープ(ひき肉とハーブの和え物)などがあります。
イサーンの主食はもち米。カオ・ニヤオと呼ばれる蒸したもち米を手でくるくると一口大に丸めて、料理と一緒にいただくと格別のおいしさです。食材も、バンコクでは見られないイサーンならではの調味料や野菜を使っているので、ぜひご当地ならではのグルメを味わってみてください。
コーンケーン県ではマンゴー栽培も盛ん。毎年東京・大阪などで開催されている「タイフェスティバル」でも販売しています。甘みが強くジューシーと評判のおいしさです。
新鮮な野菜や果物を使ったイサーン家庭料理が楽しめる「ミーキン・ファーム」
コーンケーン県にある「ミーキン・ファーム」では、ファームで採れた新鮮な野菜や果物を使ったイサーン家庭料理が楽しめます。
広い農園にはバナナ、マンゴー、グアバ、ミニトマト、トウモロコシなどが栽培されており、鶏や水牛も飼育されています。ファーム散策やトラクター試乗体験もでき、リクエストすれば料理教室も体験可能。自然の風に吹かれながらいただく料理は、イサーンらしさを感じられるスペシャルな体験となることでしょう。
北イサーンの主なイベント
1月 | コーンケーン国際マラソン |
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3月 | ・ナコーンパノム県 メコン川国際トライアスロンアジア杯 ・カラシン県 プレーワーシルク祭り ・ローイエット県 カオプンブンパウェットフェア(仏教得度式で、「カオプン(麺)」を食べて祝います。) |
4月 | タイ全国で開催されるソンクラーン祭り(水かけ祭り) |
7月 | ピーターコーンフェスティバル ルーイ県 |
10月 | ・サコンナコーン県 キャンドルフェスティバル&ボートレース ・光のボートパレードフェスティバル ナコーンパノム県 ・バンファイパヤーク(メコン川で起こる不思議な自然現象が見もの) ノーンカーイ県 |
11月 | コーンケーン県 シルク&ブックシアウ祭り (シルク展示、販売の他、郷土芸能などが繰り広げられます。) |
独特の文化を育み、他の地域にはない魅力を持つ北イサーンを旅すれば、新しいタイのおもしろさを再発見できることでしょう。タイ旅行リピーターや旅の上級者におすすめしたい、ユニークなディスティネーションです。